お屋敷ブログ

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鳥かごのお姫様(8)

鳥かごのお姫様7

 
「し・け・い!」「し・け・い!」
 あれよあれよと言う間に、繭美は人々に取り囲まれてしまった。
 最初に繭美を呼んだ男の子も、なぜか、
「姫様が歌えずに仕事を放棄なさった!」
 と、怒っている。
「俺達が汗水流して働いてるってのに歌えないとはな!」
「歌えない姫は姫じゃねぇ」
「今、城が爆発したのも姫のせいだっぺ?」
「死んで償え!」
 農家を筆頭に、口々に叫ぶ国民。もう手に負えない。
「た、助けて佐藤――」
「お嬢様……」
「お前も姫の家来。ここは一緒に死刑だ!」
 と、そのへんのおっちゃんが佐藤を蹴り飛ばした。
「そんなーっ。いやですぅぅー」
 佐藤は泣いた。
 しかし、泣けば済む問題ではなかった。佐藤は現在顔が別人。いつもの美貌アタックは効かないのである(いつもキカネーヨ)
 男達に取り押さえられ、繭美と佐藤は城の前の広場に連れて行かれた。
 そこには、恐ろしい器具が用意されていた。
 井戸の横にあるソレは……。
「ギロチンの刑!」
 と、民衆の一人が叫ぶと、うおおおおー!と一斉に湧き上がる。
「ぎ・ろ・ち・ん!」「ギ・ロ・チ・ン!」
「な、なんで私死ななきゃなんないの!? 誰か教えてよ!」
 縄で腕を縛られた繭美と佐藤。繭美は必死でもがいた。
「この国のルールを知らないっぺ?」
 さっきからぺーぺーうるさい太めの男性が前へと進みでる。男は白い白衣に白い手袋だった。いかにもこれから裁きます(捌きます!?)的なその格好は何。
「姫は鳥の神との契約により……歌う声をもらった。その代償に私達は翼を失ったのだ……ぺ」
「どういうことでしょうか?」 
 佐藤が聞く。
「その昔、人々は歌を歌い、空を飛べた。しかし同じことが出来る鳥の神によって人間の力は封印されたのだ。その代わり、鳥の神は約束した。この城の『姫』に鳥と同じ力を与えると。その姫が歌う限りこの地は滅びないと。しかし姫が歌う力を失った時は、それは悪魔が乗り移ったと言うこと。即刻殺すべきとの教えがこの国には昔からあるんだっぺぇ!」
 バシッとお告げの本を投げ捨てる、ぺ、さん。
 なんでそんな壮大な物語になってんの――!?
「鳥かごのお姫様はねぇっ。そんなストーリーじゃないのよ! 姫と家来が恋に落ちるだけのうふふふなストーリーなの! いい加減にして!」
 しかし誰も聞かない。
「そうだわ。私が普通に死んだら次はどうすんのよ! いつまでも姫は生きてないわよ」
「姫は……次の姫を探せばいいだけですよ」
 民衆の一人、痩せ型の男が言った。
「次?」
「ええ。あなたは橋の下に捨てられていた子どもです。姫は選抜されて姫の役割を与えられるのです。鳥の神が与えた刻印があるでしょう? 腕に」
「刻印?」
 繭美は腕を見た。そこには翼マークがある。
「ちょっと、まるでファンタジーじゃないの」
 あ、ファンタジー小説だった。
 隣の佐藤を見ると、なぜかあぐらで瞑想していた。
「ちょっと! 寝ないで!」
「だって……もう、どうにもならないじゃないですかぁ」
「そんな今風の若者みたいに、じゃないですかぁ?なんて使ってないでなんとかしなさいよ!」
 激昂する繭美にも佐藤はただ無言でうなだれるのみ。役に立たない佐藤に呆れつつ、繭美は聞いた。
「ねぇ。佐藤。あんたはどうやってこの世界に入ってしまったの?」
「えっとぉ。本にストーリーを書き足した後、吸い込まれました」
「その時一人だった?」
「いえ。坊ちゃんが……」
 一瞬シーンとする。
『羽純!』
 ストーリーが妙に違うのは、羽純が書いているからなのか!?
「はーちゃん! 助けて! ここから出してー」
「お坊ちゃんー」
 空に向かって手を振る繭美だが、声は届かない。

 **

「執事……?」
 羽純は本を持って振り返った。そこはただの廊下で誰もいない。
「変なの」
 くるりと元に体を戻すと、二本の足があった。
「うわぁ!」
「きゃっ」
 メイドの根羽と激突した。羽純は尻餅をつく。
「坊ちゃん。何をしてるんですかー」
 根羽が羽純の手を引いて、起こした。
「痛ぁ」
「その本は?」
「さっき執事が読んでて、いつの間にか執事が消えたから持ってきた」
「執事さんが消えた?」
「うん」
「その本なんの本ですか?」
「ファンタジー。でも絵本みたいに挿絵があるよ」
「へえ? 絵本みたいな……?」
「話が途中から白紙で、佐藤が書き足してたから、真似して僕も書き足した。最後は姫と家来はギロチンで死刑にしたよ」
「ええっ!? 書き足せるんですか? この本」
「うん。あとね、お菓子の家とか魔女も出してみた」
「へぇぇ。坊ちゃんったら、ヘンゼルとグレーテルみたいな話にしちゃったんですか。でもそんなことしていいんですか?」
「うん。背表紙を見て」
 羽純に言われて、根羽は本の背表紙を見た。
「…お好きな展開をお書き下さい」
「だってさ。書いてもすぐ消えるようになってるみたいだし、変な本」
 羽純は肩をすくめた。
「だったら私が書いてもいいですか?」
 と根羽がペンを取り出す。
「うん。いいよ」
「やっぱりここはハッピーエンドじゃないと」

 
 根羽の書いたストーリーは?
 つづく


   

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