お屋敷ブログ

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*Edit
   

婚約者は誰?(15)

婚約者は誰?12

 
「お嬢様!」
 佐藤が繭美を呼びとめ、腕を掴んだ。
「お嬢様。これはお嬢様のための舞踏会です」
「それは知ってるけどッ。でも、この中で選ぶなんて無理なの!」
 繭美は客に聞こえないように言った。
「だったら、私と踊りましょう」
「え――」
「音楽、スタート」
 と佐藤が手を上げる。
 音楽が鳴り出した。
 佐藤が繭美の手を取り、デタラメに踊り出す。
「さ、佐藤。あんた下手…」
「いいからいいから」
 踊っているうちに、なんだか落ち着いてきた。他の客も踊り出す。
 繭美と踊りたい候補者達は黙って佐藤の姿を羨ましそうに見ていた。
 明澄と羽純もそれを見ていた。
「なんだ。お似合いじゃん?」
 と明澄が言った。
「どうして私と…」
「お嬢様が踊りたいのが私だと思ったからです」
 佐藤がニコリと笑った。
「…………」
 言おうか迷って、繭美はやめた。
 どうしても、言えない。
 このお見合いをやったのは、佐藤の本当の気持ちを知りたかったから。佐藤が私のお見合いに反対する姿を見たかったから。そんな自分勝手で舞踏会にたくさんの人が来てしまった。
 佐藤と繭美が踊る姿をおどろおどろしい目で見る人物がいた……。
 ホールの端で、
「繭美ちゃん。そろそろ他と踊りなさい」
 と呟く芽依見だったが、後ろにいた貴堂が、
「お嬢様の好きにさせるのがいいかと…」
 と口を挟む。
「ま、まあ貴堂。この舞踏会の目的をお忘れかしら?」
「いえ…ですがお嬢様が今日一番良い表情をされていたので」
 芽依見が繭美を見る。
 繭美が佐藤を見る目は、一番輝いていた。芽依見は二人と止めに入ることも出来ず、扇子を閉じた。
「……繭美ちゃん。どうしてよりによって…」
 
「ねえ佐藤。私と踊って楽しい?」
「ええ。でもこの踊りは私には合わないようです」
「どんな踊りがいいの?」
「くねくねダンス」
 ――なにそれ!?
「お嬢様」
「なに?」
「こんなお見合いはダメだと思いますよ」
 佐藤はぎこちなく踊りながら、続ける。
「皆、お嬢様のことをよく知りもしないで結婚しようとしています。何も見てない。お金目当てです。本当のお嬢様の姿を……知らないんです」
 やっぱり私を結婚させたくないんだ、佐藤。
 嬉しくなる繭美。
「繭美!」
 急に平松が割り込んできた。強引に繭美の手を取る。
「次は僕と…」
「ごめんなさい」
 繭美は謝った。平松が悲しそうにする。
「繭美。どうして…」
「皆さん! 聞いて下さい!」
 繭美の声でホールの音楽が止み、静かになった。
「私は! 本日お集まりいただいた方に言いたいことがあります!」
 一斉に繭美に視線が集まる。
「ママ、ごめんなさい」
「……どういうことかしら?」
 ホールの端にいた芽依見が、進み出てきた。
「私は結婚相手は選ばないわ。婚約者なんて決めない」
 きゅっと手を握る芽依見。思い通りにいかない子どものような表情になる。
「私のためにお集まりいただいた方に心からお礼を言います! ダンスを楽しんで! では!」
 スカートの裾を持ってお辞儀をした後、繭美は佐藤の腕を掴んで会場を後にした。
「お嬢様ぁーッ」←佐原絶叫


 逃避行のはずだった
 つづく



   

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