お屋敷ブログ

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婚約者は誰?(15)

婚約者は誰?14

 


「お嬢様……私だけは味方です」
「佐原ーっ」
 繭美はフリフリメイド服の佐原の胸に飛び込んだ。
「で、佐藤さんはどこに?」
 見ると佐原は怒りに震えていた。
「ごめんなさい。佐原。あんなこと言っちゃって…」
「いいんです。佐藤さんを探すために外に出ましょう」
「私、もう恥ずかしくて外に出られないわ」
「恥ずかしい? 佐藤さんがすべて悪いんでしょう? あんな風にお見合い中にお嬢様を連れ出して…。軽く成敗してくれるわ」
 キラリと光る佐原の目は、殺意に満ちていた。佐原の脳内で、いつの間にか佐藤が強引に繭美を連れ出したということになっているらしい。
 本当は私から逃げたのに……。
「あのね、佐原」
「なんでしょ?」
「お見合い中に佐藤が後ろにいて邪魔してたの知ってた?」
「え? 佐藤さん邪魔してたんですか?」
 繭美はコクリと頷く。そのあと頬が真っ赤になってゆく。
「実はパパに言われて邪魔してたらしいの。それで…」
「なんてひどいやつ! お見合いを邪魔するなんて。それだけで死刑に値しますね」
 佐原の目は相変わらず鋭い。
 しかし、違うのだ。
 それに傷ついたわけじゃない。 
 佐藤が自分を好きだと思っていたのに、だからお見合いを邪魔したと思っていたのに、違ったことが悲しくて恥ずかしいのだ。
 佐原はどんどん話を進める。
「お嬢様、お望みなら私が佐藤さんを始末しますよ」
「――」
 フリフリのピンクのメイド服のスカートの裾をあげると、腿に隠したナイフを取り上げる。それを横向きに顔の前まで持ってきて見せた。
「これで、今すぐあいつの喉を掻っ切ったって構いません」
「佐原! 佐藤はパパの執事よ! そんなことしたら……」
「たとえ広人様に逆らうことになろうとも私は構いません。お嬢様のご命令とあらば、なんだってします。だって私はお嬢様のメイドですから」
 佐原のまっすぐな瞳に、繭美は今まで悩んでいたことが急にバカらしくなってきた。死ぬほど恥をかかされても、取り乱すのは私らしくない。
 ここはグッと堪えて、毅然としていないと。
「殺さないで」
 気が付くと、そう言っていた。佐原はナイフを腿にしまう。
「お望みなら」
「佐原。ありがとう」
 繭美は佐原にハグをした。
 こんなに自分のことを心配してくれる人がいるんだ。
 自分のためなら命も投げ出す人がいるんだ。
「ずっとお慕いしています。これからも……お嬢様」
 佐原も少し照れたように、ハグを返した。

 お見合いがメチャクチャになったその夜――
「おい。死人か?」
 明澄の部屋に、なぜか佐藤はいた。体育座りをして隅っこで邪悪を放っている。
「なんなんだよ! その湿気た気持ち悪いテンションは!」
 明澄は怒鳴りつけた。
 すると佐藤は…ぼそぼそと、
「…お嬢様を…傷付けてしまいました…」
 と言った。
「は。まさか反省してんのか? ひろしのくせに」
 呆れたように明澄が天井を見る。
「お前が連れ出したお見合いパーティーはグッチャグチャの状態だったぞ。母さんはいなくなるし、父さんは石になってるし。メイド長の貴堂が収拾つけてみんな帰したけどな。そんなことしといて何後悔してんだよ!」
 ぱっと顔をあげる佐藤は、子どもみたいに言い訳をした。
「それは広人様の命令で!」
「繭美と広人とどっちが大切なんだよ!」
「だって、お嬢様だってあのお見合い嫌がってました。だから…広人様の命令も叶うし、ちょうどいいと思っていたんです!」
「嫌がってたらなんで見合いなんてしたんだ?」
 と明澄。
「知りませんよー」
「ひろし。俺さ、女心とかよくわかんねーし、ぶっちゃけめんどくせーし、どうでもいいけど。妹のことだからちゃんと考えてみた。で、繭美はさ、お前に見合いを止めて欲しかったんじゃね?」
「え――」
「それしか考えられねぇだろ」
 佐藤は口を半開きにして「え~???」と理解してないようだった。しかし明澄は続ける。
「お前がさ、本気で反省してんなら、俺いいアイデアがあるけど。繭美に元気を取り戻させるいい方法」
「なんですかそれはっ」
 佐藤は明澄のポロシャツの襟をつかんできた。
「ぐほっ。それは…っ。お前にとってカナリ困難だけど…っ」
「教えて下さい」


 つづく


   

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