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お屋敷ブログ

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*Edit
   

婚約者は誰?(15)

婚約者は誰?15(完結)

 


 
 お見合いから三日後――、
 繭美は午後、庭で小鳥のさえずりを聞きながら物思いにふけっていた。
 佐藤は芽依見に見合い妨害の罪で牢屋に入れられたと聞いた。
 しかし佐藤は縞々の服に耐えられずに脱走し、今も行方不明だ。
 父親からはすぐ謝られた。
「どうしてもお見合いを中止したかった。だから佐藤に指示してしまった」と泣きながら言われ、繭美は一ヶ月口をきかないの刑に父親を処することにしたのだが、実は許していた。
 パパが最初から私を誰とも結婚させたくないのは知ってたし……。
 ただ許せないのは、佐藤のことだ。
 いくら命令とは言え、私を勘違いさせ、恥をかかせるとは――。
 佐藤は「申し訳ない」なんて少しも思っていないだろう。おばかだし。しかしパパの罪まで被って失踪中なのは少しだけ可哀相だった。
「はぁ……、地獄だわ」
 繭美は木製ベンチの背に腕を乗せ、呟く。
 勘違いしていた自分が一番腹立たしい。
 本当なら、佐藤を許して屋敷に戻してあげたいけど…。
 自分のプライドがそれを邪魔するのだ。
 佐藤、マジで死んで欲しい。
 こんなにモヤモヤするぐらいなら……家出でもしようかしら。
 急に、庭の奥から白い煙がのびてきた。
 もわああああ~。
「!?」
 ごほごほと咳き込みながら、あたりを見渡す。
 白い煙の中から人影が見えた。
「……誰」
 その人物はすらりと長い右手をあげる。
「こんにちは」
 その透き通った声は……。
「ロイド様!」
 白いコート姿で、ロイドが現れた。美しい顔で微笑んでいる。
「どうして?」
「君に会いたかったから」
 ロイドは即答した。
 会いたかった?
 繭美の頬がかーっと赤くなる。
「そんな…うそよ」
「ほんとだよ」
 ロイドはしゃがんで、ぽーっとなる繭美の頬にキスをした。
(にやあああああ――っ!!!!)←繭美狂乱
「ろ、ろ、ろ、ロイド様ッ」
「はい?」
(ぬやあああああ――!!!!)←再び
 ロイドは繭美の手を握る。
「俺と一緒に行く?」
 ロイドの目は真剣に見えた。
 え…? これは求婚ですか。このままロイド様と愛の逃避行。そんで全世界のパパラッチが私達の写真を狙って……、全世界の女の子敵にして。えーっ。
 数秒し、繭美は立ち上がった。
「ダメぇ!」
 ロイドはびくりと体を震わせた。
「私、ロイド様は大好きですけどっ。ロイド様は神ですけどっ。私は相応しくありません」
「そんなことないよ」
「いいえ。私はロイド様を大好きないちファンとして、ロイド様についてゆくことはできません! 好きだから…。好きすぎるからロイド様の迷惑になりたくないんです!」
 それに……あのおばかがお腹を空かせて待ってるわ。今頃縞々の服で屋敷を逃げ回っている。私がいなくなったら、あの子がもっとママにいじめられちゃう。
 本当は今すぐに会いたいのに!!
 繭美は改めて佐藤のことを考えている自分に気がついた。
「ロイド様…ごめんなさい」
 繭美が頭を下げると、その頭に軽く手を乗せた。
「君は素敵だ。それを忘れないで」
 その言葉を最後に、ロイドは煙と供に消えた。
「……夢?」
 庭はいつもの小鳥のさえずりが聞こえる優雅な庭に戻っている。
 頬を触ると、唇の感触を思い出した。
「夢じゃないにぎゃあああああああ――ッ!」
 繭美は恥ずかしくて十メートルは飛び上がった。

 庭の倉庫まで走ってくる人物。明澄はその人物に声をかけた。
「どうだ? 上手く慰めたか?」
 茶色のカツラをとる佐藤は、
「明澄様の言われたとおりにやったんですけど、これでよかったんですかね……?」
 不安そうだった。
「ちゃんと、台本どおり君は素敵だ、って言ったんだろ?」
「はい」
 キスは指示されてないですけどね……。
 佐藤は自分のやったことを明澄に言ったらなんて顔するだろうと、苦笑した。
「ん? ひろし。何笑ってんだ?」
「いいえ。早くこれ片付けましょう」
「そうだな」
 そこには巨大スモーク製造機があった(何それ)

 繭美は頬を赤くしながら屋敷に戻った。
「佐藤さん発見――ッ!」
 屋敷にサイレンが鳴り響く。佐原の声だった。
「メイド達よ。今すぐ佐藤を捕獲せよ。生け捕りにせよ! 高度A42南緯38どぉー!」
 佐原のメイド達にしか理解できぬお知らせ放送が入り、メイド達は一斉に駆けていった。
 きっと佐藤は捕まるだろう。
 繭美はそんな慌しいメイド達を横目に、考えた。
 佐藤が帰ってきたら何て声をかけよう。クッキーとか、ケーキとか、お菓子を用意してあげようか。
 おばかだから自分がなんで捕まっているのか、わからないに違いない。
「まったく、どうして私があんなおバカなんかに」
 ――惹かれてしまったのだろう?
 ロイド様よりも、他の誰よりも好きなんて、やっぱり認めたくないわ。こんなことってありえない。
 そうだ。せめてもの抵抗に(?)クッキーに唐辛子をたっぷり入れておこうかな。

 
 おしまい


 なんかシュールな結末ですね…


   

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