お屋敷ブログ

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執事で迷子(17)

執事で迷子17(完結)

 


「今からあのイケメン執事さんのところに戻ってあげて。きっと戻れるから」
「奈那子……。また会える?」
「覚えててくれたらね、キャラはずっとその人の心の中で会えるのヨ」
 奈那子は長い首を縦にふる。
「じゃあね。ばいばい!」
 羽純はコンビニを出た。
 執事! 僕やったよ! 
 なんとも言えぬ充実感と正義感で、いっぱいになる。
 元の道を行くと、ベンツがこちらに走ってきた。窓から顔を出す佐藤。
「坊ちゃん! 信じられないことがー! 車が現れたんですよ!」
「執事! 戻れるよ!」
 羽純は車に乗った。
「ね、執事。どうやって助かったの?」
「ああ、あの海賊達ですか?」
「うん」
「私、あの人達どっかで見たことあるなーと思って、名前を言ってみたんです。ゲームかなんかのキャラに似てて。そしたらよく知ってるな、ってすごく感動されて、助かりました」
 きっと、昔ゲームのキャラクターを務めて、ここに住むことになった人達なんだろう。
「じゃあ、執事! あの虹の橋まで戻って。奈那子が帰れるって」
「よかった! 戻れるんですね?」
 ベンツが走り出す。
「そうだ! 坊ちゃん!」
「え?」
「パンは?」
「忘れた!」
「…………」
 佐藤が横でじとっとした目で見てくる。
「戻れるからいいじゃん!」
「やっぱり坊ちゃんは、おつかい無理みたいですねー」
「さ、佐藤だって! 道間違ったくせに」
 言い争いが始まりそうだったが、羽純は口を閉じた。
 ちょっとだけ、泣きそうだったから。
「……坊ちゃん?」
「執事……あのね」
「お腹空いてつらいんですか?」
「違う! 僕を逃がしてくれてありがと!」
 言ったあと、カーッと赤くなる。
 いろいろあったけど。結局最後に執事に助けられた。僕一人じゃ帰ることが出来なかっただろう。あの時、執事と会えなくなることが怖くてたまらなかったなんて、絶対言わないけど。
 佐藤はふふっと笑った。
「坊ちゃん。ちょっとは常識のある子になったんですね」
「……」 
 佐藤の言う常識って何?
「うわっ」
 羽純が窓の外を見て、驚いた。
「執事! この車空飛んでるよ!」
「勝手にハンドルが……っ」
 宙に浮いた車は、虹の橋に向かって飛んでいった。夕焼けが綺麗な空だった。


 ガタンッ。

 霧が晴れていた。ベンツは道に停車していた。
 隣の佐藤を見ると、ハンドルに頭をもたげて眠っているようだった。
「……執事」
 羽純は佐藤の腕をギュッと握る。
 僕達、帰って来れたんだね。よかった。
 時計を見ると、なぜか時間はあの時に戻っていた。まだ、ギリギリ靴屋に間に合う。
「執事ーっ」
「むにゃむにゃ」
「起きろッ!」
 羽純が佐藤の耳元で叫ぶと、佐藤が飛び上がった。
「うぎゃぁっ。坊ちゃん! 今超疲れてるのにッ」
「根羽に二人だけでおつかいできたって見せないと!」
 ウルウルと目を潤め訴える羽純。このままでは根羽に顔向けできない。それに…やっぱりおつかい出来ない認定は悲しすぎる。
 佐藤はハッと、目的に気がついたように、
「出来る二人を見せないと、常識知らずだと思われますからね! 行きましょう!」
「うん!」
 佐藤がハンドルをきる。
 まるでさっきの続きみたいな夕焼けだった。



「ピアノの発表会、上手く行くといいですね」
「どじょうすくいが無ければ上手く行くよ」

 
 完☆


   

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