FC2ブログ

お屋敷ブログ

スポンサー広告

スポンサーサイト

 
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



*Edit
   

使用人ショートショート

マカロン事件簿

 
 
 とある日の午後。
「執事。今日のおやつにマカロン持ってこい」
 と羽純に指示された佐藤。
「……」
 え? マカロンって何。と佐藤は思った。
 椅子に座ったまま、くるりと羽純が振り返る。
「執事。もしかしてわかんないの?」
 バカにするような目つきだった……。
「わ、わかりますよ! もちろん」
「じゃあ、三時までに用意しろ」
 と言うと、羽純は机に向き直り、勉強を始めた。

 えー? 三時までってあと30分しかないし。まかろんまかろんまかろん?
 佐藤はとりあえず厨房に走った。
「芋皮さぁんー」
「はい?」
 そこではコックの芋皮が洗い物をしていた。
「何ですか? 佐藤さん」
「坊ちゃんがおやつにマカロンって」
「え? マカロンかぁ……。街で買った方が早いと思いますけどね。今から作ると三時には間に合わないですし」
 芋皮は当たり前のようにマカロンを語るので、佐藤は「知らない」ことを言い出せず、うんうんと頷いてしまった。
「だって、白身だけ使うんですから、時間がかかるでしょ? あれ」
「うんうん。そうですよね」
 あごに手を当ててもっともらしく頷く佐藤。
 やべぇ、マカロンってなんだか聞けなくなってきた! と、内心焦っていた。
「ですからね? 街に行ってお菓子屋で買って来てくださいな」
 芋皮は佐藤のポケットに札をねじこんだ。
「――」


 結局マカロンて何。

 数分後。
 佐藤は泣きながらお菓子屋をやっと見つけて入ったのである。
 まったく知識のない佐藤。お菓子屋はお菓子屋でも和菓子屋に入ってしまった。
「みつや」なる古びた看板が下がっている。
 マカロンなんて売ってるはずがない。
「おばあちゃん。マカロン下さい」
「マロン?」
「いえ。マカロン」
「マカロニ?」
 駄菓子屋のおばあちゃん、まったく通じない。
 佐藤は時計を見た。やばいあと五分。
「マカロンですよー!」
 悲痛な顔で佐藤が叫ぶとおばあちゃんはハッとした。
「あーマカロン。最近流行ってるヤツ? こういうの?」
 と、携帯ストラップを見せてくる。
「これが……。マカロン?」
 佐藤はまじまじとそれを見た。ジュースのおまけなどで最近流行っている、マカロンストラップだった。
「孫にもらったんだ♪」
 とおばあちゃん。
「美味しいんですか? マカロンって」
「食べたことない」
 と、おばあちゃんはつれなかった。
「なんか……しょっくですね」
 佐藤は率直な感想を言った。
「もっとすげぇ形なのかと思ったら。これじゃあまるで……。そうだ! あれとあれを下さい!」
「はいよ…?」



「はい。十分遅刻」
 羽純が佐藤を睨んだ。
「三時までにって言ったじゃん」
「坊ちゃん。すごい良い感じのマカロン、持ってきましたから」
 佐藤は皿を羽純の机に置いた。
 しかし羽純はそれを見て頬を引きつらせた。

 その物体は明らかにマカロンじゃなかった。ピンクのモナカに大福挟んでるだけ……? いや遠くから見たらそれっぽいけど。え? 何これ?
 ……ゼンゼンチガウヨネ??

「執事……何これ」
「和風マカロンです」
「…………」
「なんちゃってまっかろ~ん!」
 と、佐藤は踊り狂ったあげく、「和風マカロン」と言い張り、謝罪せずに部屋を出て行った。


 羽純はその物体を見つめた。
 マカロンが……食べたかっただけなのに。
 やっぱり佐藤知らなかったんじゃん!
 悔しさがこみ上げてくる。
 怒りの勢いで羽純はモナカをかじった。
「うまっ」


 完
 
 


   

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。