お屋敷ブログ

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*Edit
   

映画デビュー!?(7)

映画デビュー!?5

 
 オチは、そのまさかだった。
 が、話を続けます。


「ひろし君いいねー。今度はこういうポーズでやってみようか」「いい! 超いいよ!」「ベリーグッドォォ!」
 その後もジュべー監督に指示されるままに、佐藤は撮影をこなした。
「おーまいごっと。神が作り出した美貌! 私のイメージする役にぴったりだ!」
 ジュべー監督、絶賛。

「ねぇ。全裸になればわかること、っていうタイトルの映画でCG用のセットが必要なのぉ?」
 スタジオを見学しながら繭美が言う。ブルーの背景ばかりだ。
「うーん。ジュべー監督の作品だから常識で考えちゃいけないんだろうな」
「一体どんな映画が出来上がるのかしら?」
「公開は来年夏とかいう噂だ」
 情報ツウの明澄が答える。
 他に出演者がいない。変だな。と明澄は思っていた。
 

 その後も、佐藤は屋敷の仕事を抜け出して、たびたびスタジオに入ることが多くなった。
「大勢の観客が私を求めている……!」
 と浮き足立った言葉で佐藤は楽しそうに撮影に挑んでいたのだ。他の使用人達は呆れて口も聞けない。

 撮影が進むうちに映画の内容が見えてきた。
 まず、主役の青年が眠りにつく。眠っても起きても自分の元の世界に戻れない。
 どんどん現実の世界から解き放たれ、空想の世界にゆくという物語らしい。全裸、は頭を全裸にすればわかることがあるという意味だった。
 芸術的な、奇想天外な、ユニークな映画になりそうだった。


 そして数ヶ月が経った、ある日――、
 お屋敷の廊下で佐藤と広人が話しているのを、繭美は偶然通りかかって聞いてしまった。
「え? そんなっ……」
 何やら広人の言葉に慌てる佐藤。
「もう、来なくていいそうだ。ギャラは契約通り振り込まれると――」
「だって、そんな話じゃなかったのに!」
「仕方ない。ひろし。そういう業界なんだ」
「お金の問題じゃないですっ」

 何の話してんの?
 繭美はサッと花瓶の裏に隠れて話を覗った。
「私の変わりなんていないです。まだ撮影が残って…」
 ポンと広人が佐藤の肩に手をおく。とても言いづらそうに、
「ひろし。君が代役だったんだよ。あっちが主演の方が客入りだっていいだろう」
「――っ」

 広人の言葉にショックを受け、佐藤は泣きながら、廊下を駆け抜けて行った。

「パパぁ! 何があったの?」
 繭美が広人に駆け寄る。
「うむ……。昨日監督から連絡があったんだが、ひろしはどうやら他の主演の芸能人の代役だったらしい。顔立ちがすごく似てるからスカウトされたんだろう」
 繭美はピンときた。
「やっぱりあのオチなのね! ロイド様の代役でしょう?」
 広人は頷いた。
「知ってたのか。そうだ。たしかロから始まる名前だったなぁ……。本当の主役は」
「でも佐藤、結構代役にしちゃあ出番多かったわよ?」
 繭美は撮影に同行したので、知っている。佐藤は本格的な演技のシーンはそれほどなかったものの、スタジオでかなり時間をかけて撮影していたはずだ。
 広人はうーんと考え込む。よくわからないようだ。
「主役だったんだよ」
 と、広人ではない別の人が答えた。
 振り返る。
「なんだ。お兄ちゃんか」
 明澄は険しい顔になる。
「お兄ちゃんで悪いかよ。俺は代役疑惑を前から疑っていたし、今日こうなることも予想がついてたぜ。前にジュべー監督に聞こうとしたんだ。佐藤は本当に主役なのかって。でも監督は無言だった。他のスタッフも何か隠してる。俺は西園寺家の力を使って映画界の事情を調査したんだ。そしてついに真実を……」
 と明澄はパーカーのポッケに手を入れたまま喋る。
「お兄ちゃん。いつもカッコつけようとして全然カッコよくないから、早く教えてよ」
 と繭美。明澄は白目になりつつ、話をつづけた。
「で、本当はロイド主演の映画を撮りたくて監督は出演依頼してたんだけどー。音楽活動もあるし多忙だし演技も出来ないから、無理だって言われたんだって。だったら全部スタジオで撮るって、背景を全部CGにすると監督は考えたらしい。それ用に脚本も書き直して、セリフもすっげー少なくして、ロイドが出やすくしようとしたんだ。ロイドが気を使わないように、他の出演者は全部CGにする徹底ぶり。そんだけロイドの顔に惚れこんでたんだろうな。でもロイドは出演OKしない。諦めかけてたところでひろしを発見。アホなのですぐにあいつは出演OKした……」
「うん。佐藤はアホだし自分への依頼だと勘違いしてたわよね……」
「勘違いではなく、ひろしで最後まで撮って主演佐藤ひろしにする予定だったんだよ」
 と明澄。
「そうなの?」
「でも、ロイドがひろしで撮影してることを知って、急遽出演OKしたんだって」
「ろ、ロイド様が……? どうして?」
「たぶん。自分ソックリの人間がいることにムカついたんじゃねーの?」
 これはあくまで明澄の推測だった。「んで、ジュべー監督側も、無名のひろしよりもロイドが主演の方が客が入ると見込んで、佐藤を代役にして、ロイドを主役にしたんだ」
「主演ロイド、影武者佐藤になるってことぉ?」
 あまりの不憫さに繭美は驚いた。
 
 ほとんど自分が出演しているのにエンドロールはロイド様になっちゃうってこと――?
 佐藤は自分が認められたと思って、ノリノリで撮影してたのに。利用されてただけなんて。
 これじゃただのアホな子じゃないの(実際アホだけど……)

「ひろしにとっちゃぁ屈辱だろうなぁ。あいつ、自分が一番だと思ってる性格じゃん。代役って聞いてりゃやんなかっただろうな」
 と明澄。
「ロイドがひろしの名前をエンドクレジットに入れないようにと、指示しているらしい」
 と広人も残酷なことを教えてくれた。
「そんな…」
 
 ――完全にロイドに奪われてしまったのだ。

 
「……。ってあれ? 佐藤は?」
 泣きながら去った佐藤。繭美は不安になってきった。まさか、あいつ……。

「た、大変ですぅ! 佐藤さんが屋上に……っ」
 佐原が血相変えて走ってきた。


  

 佐藤がショックのあまり――?
 つづく!


   

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