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お屋敷ブログ

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*Edit
   

婚約者は誰?(15)

婚約者は誰?6

 
「ひ、平松さん……」
 繭美が立ち上がる。
「……どうも」
「どうしてここに?」
「君のお母さんに呼ばれたから、あれよあれよと言う間にね」
 ぼりぼりと平松なる人物は頭をかいている。
「あの、ひらまつってだれっすか」
 金屏風から佐藤がぼそぼそ聞いてくる。
「幼なじみよ」

 おさななじみ――

 佐藤は一瞬、お寿司ささみと頭で変換した。
「お寿司、ささみ」
 声に出して確かめる佐藤。
「はぁっ!? 何言ってんの…?」
「誰かそこに? 繭美」
 平松が不審そうに近づいてきた。
「違うのっ。独り言」
「……そっか」
 平松は繭美から二メートルほど離れた、用意された椅子に座った。
「元気そうだね」
 茶色のスーツがよく似合う、ソース顔(言い方古っ)の平松は、長い足を組んで繭美に微笑んだ。
「ずっと……」
 じっと繭美を観察する平松、そして一言。
「会いたかった」
「えっ!?」
 思いがけぬ平松の言葉に繭美は戸惑う。
 幼稚園、小学校の低学年と、平松とは同じクラスで友達だったが、相手の転校で連絡は途絶えた。
 なのに、会いたかった……?
 
 すると、歌声が聞こえてきた。
「会いたかった~会いたかった~会いたかった~♪」
 金屏風から、佐藤が登場した。

 佐藤ッ!!

 この時ばかりは繭美も血の気が引いた。佐藤が登場しちゃったことよりも、それよりも、まずは。
 ひろしがなぜかフリフリのドレスを着ていたことにツッコミたいのだが……。
 果たして、このお見合い中に佐藤をツッコミ絞めることは可能だろうか。
 あえてスルーすべきか。
「初めまして。ひろ子です」
「ひろ子さん? 繭美の友達ですか?」
 平松気づけ。
「よろしくお願いしまーす!」
 ピンクのフリフリドレスで意味不明にテンションの高い佐藤。何がよろしくなのか。
「……よ、よろしく?」
 平松、戸惑いつつも顔を赤らめるな平松。
 ひろ子が男だと気がついてない。
「平松さん。本当に中学生ですか?」
 と、佐藤はいきなり失礼な質問をした。
「ふけてませんか?」
「えっと……はい」
 平松、正直に答える。
「よく大学生に間違われます」
「ちょっと! 部屋から出なさいよ!」
「お待ちを」
 佐藤、すっと右手をかかげる。
「平松さん。あなたはお嬢様に会いたかったと言いましたが、それはどうしてですか?」
「会いたかった…っていうただの気持ちを言ったんだけど。理由とかは…」
 佐藤の質問に平松は口ごもった。
「あなたはお嬢様に恋していますね?」
 ズバリと佐藤はきいてしまった!
「!」
 カーッと平松が赤くなる。
「佐藤、茶化すのはやめてよ! ここに来る人なんてみんな私に恋してるようなモンでしょ? 私がおしとやかで可愛いお嬢様なんだから当然じゃない!」
 繭美を無視して佐藤はつづけた。
「今すぐこんなお見合いやめなさい」
「え?」
 佐藤は真面目な顔になって、こう言った。
「繭美さんの相手はこの私ですよ」
「――っ」
 平松は目を見開いた。
 繭美は白目になっていた。

 ……今。なんと?

「じゃあ、繭美はソッチ系ってことか?」
 平松の問いにこくりと頷く佐藤。
 そうだ。平松は佐藤をひろ子だと思っているのだ。
「そうか。恋愛は自由だ。ありがとう…」
 何がありがとうなのかわからないが、平松は吹っ切れた足取りで部屋を後にした。
「さ、佐藤っ。あんた」
 お見合いがぶち壊しじゃない!
「どういうつもり!」
「さあ! 次の候補者ですよ!」


つづく


   

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