お屋敷ブログ
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執事と天使
執事と天使5
そして誕生日パーティー当日となった。
会場はキリアによって飾り付けられ、繭美の計らいで立食形式にされた。百人ほどの女の子達がワイワイとジュース片手に会話を楽しんでいる。皆屋敷に来たくて仕方なかったようで、目が爛々と輝いていた。
パーティーの主役は、遠島由奈と言う子だった。背がそれほど高くないが、ほっそりとしたしなやかな体躯。髪がくるっとカールして、外国の子どもみたいだと繭美は思った。
「始めまして」
と繭美が挨拶すると、遠島はうるうると目を細めた。
「こんな豪華なパーティーをしてくれるなんて嬉しいですっ」
「この屋敷を誰かの誕生日パーティーに使うのは初めてかも。楽しんでください」
「はい。ありがとうっ」
遠島が少し出た前歯を見せて、にこりとした。
なんだか怪我で夢を諦めて、いろいろ苦労もあったはずなのに、明るい子だな。と思った。
横のキリアが、
「ほら、あそこにいるのは誰?」
と小さい子どもを指す。
「あっ。カワイイ子だ…」
遠島は嬉しそうに、手を口に当てた。
「はーちゃん、こっちきて!」
と繭美が招くと、羽純はちょこちょこと小さな足で歩いてきた。
「……何」
「今日の主役の遠島さんだよ」
と繭美が羽純の頭をぐっと押した。羽純は無理矢理おじぎさせられる。
「うっきゅー」
と羽純が苦しそうにすると、
「うっきゃー! 可愛いっ」
と遠島が卒倒しそうになった。
「ではではっ。私は会食しよーっと!」
キリアはご機嫌で、会場の食べ物コーナーへと歩いていった。
遠島は羽純と記念撮影し、感無量になっていた。
羽純は自分のことをなぜ知っているのかわからないままだ。
「はーちゃん。はーちゃんは有名人なの」
と繭美が教えた。
「はいっ。前の日本一のお屋敷選手権にもチラッと出てたのみました」
「そっか…。僕映ってたんだ?」
羽純が首を捻る。
羽純は自分の写真にも映像にも何の興味もなかった。佐藤と逆である。
「あれっ? そう言えば佐藤は…?」
繭美が会場を見渡す。
いない……。
**
会場を出てすぐの廊下で……。
「あっ。いたぁ! 佐藤さん!」
キリアは子ども用シャンパングラスを片づける佐藤に近づいていった。
「あっ」
佐藤はキリアと目を合わせた瞬間、こう思った。
(やば。この人名前なんだっけ!? ショートカットで、お嬢様に似てて、超性格悪いことしか記憶ない)
「佐藤さん、また会ってしまったわね…?」
すすっとキリアが佐藤にすりよる。そして上目遣いで聞いた。
「私のこと覚えててくれた?」
「ええ…。お久しぶりでございます」
「ねえ。繭美ちゃんってあなたのことなんて呼んでるの?」
「佐藤と」
「じゃあ私も佐藤って呼ぶわ! 佐藤も私を名前で呼んでいいわよ」
「!!!!」
いやだから名前覚えてないし!
つづく
会場はキリアによって飾り付けられ、繭美の計らいで立食形式にされた。百人ほどの女の子達がワイワイとジュース片手に会話を楽しんでいる。皆屋敷に来たくて仕方なかったようで、目が爛々と輝いていた。
パーティーの主役は、遠島由奈と言う子だった。背がそれほど高くないが、ほっそりとしたしなやかな体躯。髪がくるっとカールして、外国の子どもみたいだと繭美は思った。
「始めまして」
と繭美が挨拶すると、遠島はうるうると目を細めた。
「こんな豪華なパーティーをしてくれるなんて嬉しいですっ」
「この屋敷を誰かの誕生日パーティーに使うのは初めてかも。楽しんでください」
「はい。ありがとうっ」
遠島が少し出た前歯を見せて、にこりとした。
なんだか怪我で夢を諦めて、いろいろ苦労もあったはずなのに、明るい子だな。と思った。
横のキリアが、
「ほら、あそこにいるのは誰?」
と小さい子どもを指す。
「あっ。カワイイ子だ…」
遠島は嬉しそうに、手を口に当てた。
「はーちゃん、こっちきて!」
と繭美が招くと、羽純はちょこちょこと小さな足で歩いてきた。
「……何」
「今日の主役の遠島さんだよ」
と繭美が羽純の頭をぐっと押した。羽純は無理矢理おじぎさせられる。
「うっきゅー」
と羽純が苦しそうにすると、
「うっきゃー! 可愛いっ」
と遠島が卒倒しそうになった。
「ではではっ。私は会食しよーっと!」
キリアはご機嫌で、会場の食べ物コーナーへと歩いていった。
遠島は羽純と記念撮影し、感無量になっていた。
羽純は自分のことをなぜ知っているのかわからないままだ。
「はーちゃん。はーちゃんは有名人なの」
と繭美が教えた。
「はいっ。前の日本一のお屋敷選手権にもチラッと出てたのみました」
「そっか…。僕映ってたんだ?」
羽純が首を捻る。
羽純は自分の写真にも映像にも何の興味もなかった。佐藤と逆である。
「あれっ? そう言えば佐藤は…?」
繭美が会場を見渡す。
いない……。
**
会場を出てすぐの廊下で……。
「あっ。いたぁ! 佐藤さん!」
キリアは子ども用シャンパングラスを片づける佐藤に近づいていった。
「あっ」
佐藤はキリアと目を合わせた瞬間、こう思った。
(やば。この人名前なんだっけ!? ショートカットで、お嬢様に似てて、超性格悪いことしか記憶ない)
「佐藤さん、また会ってしまったわね…?」
すすっとキリアが佐藤にすりよる。そして上目遣いで聞いた。
「私のこと覚えててくれた?」
「ええ…。お久しぶりでございます」
「ねえ。繭美ちゃんってあなたのことなんて呼んでるの?」
「佐藤と」
「じゃあ私も佐藤って呼ぶわ! 佐藤も私を名前で呼んでいいわよ」
「!!!!」
いやだから名前覚えてないし!
つづく
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